気になる!アパレル派遣の福利厚生の実情
アパレル人材派遣というと、服を買ったりお洒落をしたりして、けっこう大変に思うかもしれません。 そんな時に大事なのが福利厚生です。これは働く人のためにあるサービスで、働いている自分を癒したり、出費を抑えてくれるなどの効果があります。特にアパレル系派遣では、他の派遣にはない福利厚生が用意されている場合もあります。
また派遣の福利厚生で気になるのが、長期休暇や産休・育休の有無について。旅行や法事であったり、出産や育児をすることになれば、これらは必要不可欠です。また社会保険もほしいですよね。
今回は、アパレル人材派遣の福利厚生や社会保険などについて、詳しく解説させていただきます。
基本的な有給休暇などは完全に揃っている
まず、働く人のための福利厚生については派遣会社も基本的な所はそろっています。 例えば一定以上の時間働くと適用されるのが健康保険で、派遣でも当然健康保険くらいはついています。また、有給休暇なども半年以上働くと適用されますし、当然それ以外の様々な基本的な福利厚生は揃っているのです。
このため、基本的にはそこまで正社員として働くのとあまり変わりがないかもしれません。 むしろ、有休がとりやすいとか、労働時間の管理がしっかりしているので残業すると残業代がつくことなどから、派遣の方が働きやすいという人もいるくらいなのです。
ボーナスは出ませんが、比較的働きやすい環境が整っているのがメリットでしょう。特にアパレル系は人数が少なかったり残業が多いというところもありますが、派遣についてはこういったことはあまりないか、あったとしても給料などで補ってもらえます。 このため、比較的収入につながりやすい傾向があり、中には「会社員でアパレルやってた時よりも収入がアップした!」という人もいます。
気をつけたいのは、有給休暇も健康保険も、雇用保険も年金も当然のようについていますが、実は派遣にはこういった社会保障などが無い、と勘違いしている人がいます。また、派遣の短時間労働の場合はこのような各種保証がついていなかったり条件が違う場合がありますので、気をつけておきましょう。
ファッションのお助けや派遣会社ならではのものも
派遣会社によっては、オリジナルの福利厚生を準備しているところもあります。 これはそれぞれの会社によっても違いますが、特にアパレルの場合はありがたいものが少なくありません。
まず、アパレルに特化している会社の場合、アパレルにありがちな店舗の商品購入については、割引が効く場合があります。これはアパレル店員になると勤務中にお店の商品を買う事があるのですが、そのお店の商品を買う代金をサポートしてくれる制度があるのです。
これはお店の社販が通用しない可能性があるため、こういったサポート体制を取っているようなのです。当然売り上げとして計算されますし、ノルマがあるならノルマの分にも適用されます。
次に、会社ではファッションレンタルサービスを割り引きで利用できたり、格安で利用できるなどのお店もあります。 これは専門のファッションレンタルサービスを利用して、小物や靴などをレンタルするというものです。
ファッションの新しい組み合わせを試したり、小物をたくさんつけたい人にはおすすめのサービスでしょう。当然メインとなるトップスやボトムスなどもレンタルできますし、サービスによっては結婚式参列のためのドレスや、喪服なんかもレンタルできるようです。
この点をチェックするのであれば、登録時にどういうサポート体制があるのか、どういう福利厚生があるのかという点をチェックしておきましょう。
交通費については派遣会社と勤務先次第
どのショップで働くときにも注意したいのが交通費です。 実は残念なことではありますが、派遣という働き方だと通勤にかかる費用が出ない事があります。
交通費は労働法上絶対に支払わなくてはならない、というものではありません。このため、派遣は自己負担だというところがかなりあるのです。 ですので、あまりに家から遠いと定期代がかさんで負担になりやすいですし、便利な手段を使いすぎると交通費で負担が増すことが良くあります。通勤で費用がかかるのはいや、という人であれば、格安の通勤手段を選ぶしかない場合もあるでしょう。
とはいえ、最近ではこれを嫌がった人たちが交通費が出る会社へ登録したり、定期代を出す会社に切り替えるというパターンが見られます。 また、もともと会社もすべて交通費を出します、としているところも出てきました。その会社の案件は全て支給しますという会社の方が人気というところもあります。
また、普通は出なくてもショップの方針で特別に交通費が支給される場合もありますし、様々な配慮が働く場合もあります。勤務先が配慮してくれる場合や、シフトに対応するために早い時間や夜遅くまで働く場合はタクシーチケットが支給されるお店もあるようです。 当然、これはすべてのお店や会社がそうだ、という訳ではありません。ですが、最近では交通費支給をするところが増えていますので、こだわりがあるなら対応している会社を選びましょう。
派遣社員でも長期休暇の取得が可能
続いて、どのようなパターンで長期休暇が取得できるのかを見ていきましょう。
ゴールデンウイーク・夏季休暇
派遣先がゴールデンウイークや夏季休暇、年末年始を休業日としている場合は、派遣先の休業に準じて長期休暇を取得できます。
産前産後の長期休暇
妊娠や出産による産前産後の休暇は法律で定められていることから、正社員と同様に派遣社員でも取得可能です。育児休業による長期休暇も条件を満たすことで取得可能となっており、育児休業給付金の支給も受けられます。
有給休暇による取得
派遣社員であっても有給休暇を取得できます。ただし、継続して6か月勤務しており、80%以上の出勤率を満たす必要があります。勤続年数によって付与日数が変わるため、取得前に確認しておきましょう。
派遣社員が長期休暇を取得する際の申請方法
次に長期休暇を取得する際の申請方法について確認しましょう。
派遣元へ相談
まずは、派遣元の派遣会社へ長期休暇取得の相談をしましょう。派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでいるため、順序としては派遣会社へ先に相談する必要があります。休暇取得する日数と時期、理由をもって、担当者に申請します。また、派遣契約は決められた契約期間をもって、派遣先と結ばれています。休暇を頻繁に取る必要がある場合は、契約前に派遣会社へ相談しておくことが重要です。
派遣先の企業へ申請
派遣会社へ長期休暇取得の了承が得られたら、派遣先の企業へ相談します。休暇の理由や期間を明確にして申請しましょう。繁忙期での長期休暇取得など業務に支障をきたす場合、申請が認められない可能性があります。一方的な休暇取得とならないように注意しましょう。
なるべく早く申請する
長期休暇取得の予定が決まったら、なるべく早く派遣元と派遣先へ申請することが重要です。休暇日数によりますが、急な申請をすると派遣先の企業に迷惑をかけてしまいます。長期休暇中の人員配置や業務調整の時間が必要となるため、遅くとも1か月前には申請しておくとよいでしょう。
派遣社員が長期休暇を取得する場合は無給になる?
長期休暇を取得した場合の給料について気になる人も多いかもしれません。有給休暇を利用すれば、長期休暇でも給料が発生します。しかし、有給休暇は6か月間勤務を続けて8割以上出勤しているという条件を満たす必要があります。派遣契約が時給計算の場合は、有給休暇が使えない限り、休んだ時間だけ無給となってしまいます。
また、雇用契約上、休日を派遣先に合わせるようになっている場合、休日に該当する日は有給休暇が取得できない可能性があります。派遣先の企業が夏季休業や年末年始などで休暇を設定している場合は、有給休暇が使えないため注意が必要です。
派遣社員が長期休暇を取得するときの注意点
実際に長期休暇を取得するときは、以下のような点に注意しましょう。
繫忙期の長期休暇を避ける
長期休暇を取得する時期として避けたいのが、派遣先の繁忙期です。派遣先の企業は、自社の抱える正社員だけではマンパワーが不足しているなどの理由から、派遣社員を採用しているケースがほとんど。
肝心の繁忙期に長期休暇を取られると、派遣先としては採用したメリットが薄まってしまいます。次回以降の派遣契約の更新に影響してしまう可能性があるため、特別な事情がない限りは繁忙期の長期休暇を避けたほうがよいでしょう。
業務が停滞しないようにする
長期休暇を取得する場合、休暇前に担当する業務は終わらせておきましょう。万が一終わらない場合は、適切な引き継ぎをしなければなりません。また、休暇中に生じる業務をリストアップし、引き継ぎ書を作成しておくと、派遣先も安心します。
長期休暇を取ることで、業務が停滞しないようにしておくことが重要です。
派遣先への配慮をする
長期休暇を取る場合は、派遣先の人たちの協力が必要となります。休暇に入る前に所属長や引き継ぎをお願いする人に挨拶しておくとよいでしょう。ほかの人が長期休暇に入る際も積極的にサポートする姿勢をとることで、自身の長期休暇も取得しやすくなります。
派遣社員でも産休・育休は取得できる
定められた条件をクリアすることで、派遣社員でも産休・育休を利用することが可能です。産休は出産のための「産前産後休業」のことであるため、取得可能なのは女性だけになります。
育休は「育児休業」のことで、女性だけではなく男性も利用可能な制度になっています。「育児・介護休業法」により、会社側が出産や育児を理由に従業員を解雇することは禁止されています。
派遣先にも適用されるので、産休・育休を理由に解雇・減給・契約打ち切りなどの心配をする必要がありません。
ただし、もともと契約が終了する予定の場合は、更新しなくても問題はないといわれています。産休・育休を利用する予定の場合は、早めに派遣会社に相談してみてください。
派遣社員が産休・育休を取得する条件
産休・育休は働く人全員に認められている権利ですが、派遣社員が利用するときは条件がいくつかあります。利用を考えている場合は先にチェックしておきましょう。
産休を利用する場合
派遣社員が産前休業を利用できるための条件は、申請する時点で在職中であることになります。産休は「産前休業」と「産後休業」の2種類です。「産後休業」は出産した日から8週間は法律により働かせてはいけません。
「産前休業」は、出産予定日の6週間前(多胎児妊娠のときは14週間前)から利用が可能ですが、任意になります。妊娠がわかったら、産前休業開始日までに契約が満了にならないか早めに確認しましょう。
育休を利用する場合
次にあげる3つが、育児休業を取得する条件になります。
・同じ派遣会社で、1年以上雇用されていること
・子が1歳になったあとも、継続して雇用されることが決まっていること
・子が1歳6か月になる前日まで、契約が継続している
まとめると、同じ派遣会社で1年以上雇用されていて、育休取得後も働く気がある人が利用できます。
派遣社員が産休・育休中にもらえる手当
実際にどんな手当がもらえるのか、具体的にご紹介します。
出産育児一時金
妊娠4か月以降の出産の場合にもらえるお金です。加入している健康保険に申請すると受給でき、子どもひとりに対し42万円になります。
出産手当金
産休を取得し、給料の支払いがされなかった日数について、標準報酬日額の3分の2の額を受け取ることができます。
国民健康保険に加入している場合は、任意の給付とされているため、市区町村により対応が異なります。お住まいの地方自治体でどのような制度が実施されているか確認してみてください。
育児休業給付金
育休中の家族の生活に不安がないように、給与に代わり給付されるのが「育児休業給付金」になります。母は産後休暇明けから、父の場合は子どもが生まれた日から、子どもが1歳になる日の前日までが給付対象です。
支給される金額は、育児休業開始から180日間は育休開始前の賃金の67%、181日目からは50%になります。
派遣会社独自に手当
ほかにも、会社独自に従業員の出産や育児のために、手当やお祝い金制度が用意されている場合もあります。申請期間が決まっていたり、書類の準備が必要になったりすることもあるかもしれません。
申請が間に合わないなんてことが起こらないように、派遣会社の担当者や先輩社員にも確認してみましょう。
産休・育休の取得から派遣復帰までの流れ
ぜひ積極的に取得したい産休・育休ですが、どのタイミングでどのような準備をすればいいか不安ですよね。産休・育休の取得から、職場復帰までの流れを解説します。
派遣会社へ連絡して、産休・育休取得の意思を伝える
妊娠がわかり、産休・育休の取得したい場合は、出産予定日とともに産休・育休を取得する意向を派遣会社に伝えます。産休に入る前にも、定期的な通院や体調による休暇が必要なるケースも多くあります。
妊娠がわかったら早めに報告し、必要なときに無理なく休暇が取得できるように準備していくのがおすすめです。
必要書類を準備して提出する
休業を開始する1か月前までに申請が必要となります。出産直後は、外出して必要書類を準備することが難しいので、産休に入るときに育休の申請を一緒に行うのが一般的です。
産休・育休に入る
産前休暇に入る時期は、出産予定日の6週間前からであれば自由に決めることができます。有給が残っている場合は、産前休暇よりも前から、出産に向けてのお休みを取得することもできるかもしれません。
体調とも相談して、出産へのカウントダウン期間を穏やかに過ごせるようにしましょう。職場に復帰するためには、保育園など親が仕事中の子どもの預け先を考えておくことが必要です。
保育施設に預ける場合は、申込期間や必要書類は自治体のホームページなどで確認できます。知らない間に申込期間が過ぎてしまわないように、育休に入ったら早めに確認しておきましょう。
復帰
子どもの預け先などが決まり復帰の準備が整ったら、派遣会社に復帰の意思を伝えます。復帰後にも、さまざまな育児支援制度が用意されている会社が多くあります。復帰したら利用できる制度についても確認しておくことがおすすめです。
社会保険はどんな制度?
社会保険は、国民の生活を保障することを目的とした日本の社会保障制度の1つです。一定の条件を満たしている人は法律によって加入が義務づけられています。社会保険の特徴は、被保険者と事業主の双方で保険料を負担することです。全額本人負担の国民健康保険に比べると、個人の負担が少なくなります。
また、社会保険には5つの種類があります。
1つ目は、健康保険です。たとえば風邪などの病気で病院を受診した際、健康保険が適用され支払いが3割負担となります。このように、健康保険は、医療費の一部を負担するほか、病気・ケガ、または出産で一時的に働けなくなった場合に給付を行って保障する役割があります。
2つ目は、厚生年金保険です。これは、会社員や公務員が加入できる年金制度です。
3つ目は、雇用保険です。一般的に、失業保険と呼ばれる保険制度です。万が一、失業して収入が途絶えた場合や、何らかの理由で雇用が継続しなかった場合などに、国から一定期間支払われる手当を受け取ることができます。再就職までの生活を安定させ、就職活動がスムーズにいくことを目的とした制度です。
4つ目は、労働者災害補償保険です。いわゆる「労災保険」です。業務上または通勤途中の事ゆえによって病気・ケガをしたり、障害が残ったり死亡した場合、被災者本人や遺族への必要な保険金が給付されます。
5つ目は、介護保険です。介護が必要になった高齢者を国民全体で支える保険制度です。日本では40歳以上になったら、介護保険に加入し保険料を支払うことが義務づけられています。
社会保険に加入するには条件がある
社会保険への加入は一定の条件があります。まず、健康保険・厚生年金保険・介護保険への加入を考えてみましょう。
1つ目の条件は、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上であることです。
2つ目の条件は、1週間の所定労働時間が20時間以上で次のような条件を満たしていることです。
まず、1年以上の雇用が見込まれること。次に、月額の賃金が88,000円以上。そして、会社の従業員が501人以上であることです。これらすべてを満たしていれば、社会保険に加入できます。ただし、契約期間が2ヶ月を超えない限り、社会保険に加入することはできません。
次に、雇用保険に加入するには、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の継続雇用が見込まれる場合は加入できます。健康保険より、契約期間や労働時間の条件がゆるいので、雇用保険のみ加入する可能性もあるでしょう。労働者災害補償保険は、雇用主のための保険と考えることができます。雇用者は労働者を雇用する際に加入が義務付けられています。労災保険の保険料は、事業者が全額負担するのでもちろん被保険者には負担がありません。
派遣社員でも加入対象!
社会保険は、会社に勤める会社員のための保険制度と思われがちです。しかし、上記の条件を満たすなら派遣社員でも加入できます。では、社会保険に加入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
1つ目のメリットは、将来もらえる年金が増えることです。日本の公的年金制度は、建物に例えられます。1階は、国民すべてに加入義務がある国民年金・2階が厚生年金保険です。社会保険に加入すると、基礎年金に上乗せして厚生年金が支給される「2階建て構造」になるとされています。つまり老後に、より手厚い保障を受けることができるのです。
2つ目のメリットは、保険料の一部を会社が負担してくれることです。社会保険の場合、健康保険と厚生年金の保険料は、被保険者と事務所が折半することになります。
3つ目のメリットは、業務外での傷病・妊娠・出産で休職した際に、手当を受けられます。社会保険は手厚い保障制度があるのです。たとえば、健康保険や雇用保険からは、妊娠・出産が理由で会社を長期間休んだ時に、手当を受け取ることができます。休んでいても、収入がある状態をつくることができるでしょう。また、健康保険には業務外の病気やケガで、3日以上連続で休んだ場合も、4日目以降から傷病手当金を受け取れます。
福利厚生といっても、基本的に正社員とはあまり差が無かったり、残業分がしっかり給料に反映されるために収入がアップしたという人もいます。ですが、その一方で交通費の問題など、若干劣るところも出てきました。自分にとって何がいいのかを見極めたうえで、登録する会社や働くお店を選ぶのが賢い方法といえるでしょう。
また、派遣社員の人でもゴールデンウイークや夏季休暇といった、シーズンごとの長期休暇を取得でき、産前産後の休暇も可能です。
一方で社会保険に加入できるかどうかは、本人の働き方によっても変わります。自分のワークバランスに合わせて社会保険の加入を検討してみてください。