派遣社員でも社会保険に加入できるの?加入できる条件とは
派遣社員は、実際に働く企業との雇用関係はなく、派遣会社との雇用関係にあります。そこで企業に雇用してなくても、派遣社員は社会保険に加入できるの?といった疑問を持つ方もいることでしょう。この記事では、社会保険の制度や加入条件をご紹介します。
社会保険はどんな制度?
社会保険は、国民の生活を保障することを目的とした日本の社会保障制度の1つです。一定の条件を満たしている人は法律によって加入が義務づけられています。社会保険の特徴は、被保険者と事業主の双方で保険料を負担することです。全額本人負担の国民健康保険に比べると、個人の負担が少なくなります。
また、社会保険には5つの種類があります。
1つ目は、健康保険です。たとえば風邪などの病気で病院を受診した際、健康保険が適用され支払いが3割負担となります。このように、健康保険は、医療費の一部を負担するほか、病気・ケガ、または出産で一時的に働けなくなった場合に給付を行って保障する役割があります。
2つ目は、厚生年金保険です。これは、会社員や公務員が加入できる年金制度です。
3つ目は、雇用保険です。一般的に、失業保険と呼ばれる保険制度です。万が一、失業して収入が途絶えた場合や、何らかの理由で雇用が継続しなかった場合などに、国から一定期間支払われる手当を受け取ることができます。再就職までの生活を安定させ、就職活動がスムーズにいくことを目的とした制度です。
4つ目は、労働者災害補償保険です。いわゆる「労災保険」です。業務上または通勤途中の事ゆえによって病気・ケガをしたり、障害が残ったり死亡した場合、被災者本人や遺族への必要な保険金が給付されます。
5つ目は、介護保険です。介護が必要になった高齢者を国民全体で支える保険制度です。日本では40歳以上になったら、介護保険に加入し保険料を支払うことが義務づけられています。
社会保険に加入するには条件がある
社会保険への加入は一定の条件があります。まず、健康保険・厚生年金保険・介護保険への加入を考えてみましょう。
1つ目の条件は、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上であることです。
2つ目の条件は、1週間の所定労働時間が20時間以上で次のような条件を満たしていることです。
まず、1年以上の雇用が見込まれること。次に、月額の賃金が88,000円以上。そして、会社の従業員が501人以上であることです。これらすべてを満たしていれば、社会保険に加入できます。ただし、契約期間が2ヶ月を超えない限り、社会保険に加入することはできません。
次に、雇用保険に加入するには、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の継続雇用が見込まれる場合は加入できます。健康保険より、契約期間や労働時間の条件がゆるいので、雇用保険のみ加入する可能性もあるでしょう。労働者災害補償保険は、雇用主のための保険と考えることができます。雇用者は労働者を雇用する際に加入が義務付けられています。労災保険の保険料は、事業者が全額負担するのでもちろん被保険者には負担がありません。
派遣社員でも加入対象!
社会保険は、会社に勤める会社員のための保険制度と思われがちです。しかし、上記の条件を満たすなら派遣社員でも加入できます。では、社会保険に加入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
1つ目のメリットは、将来もらえる年金が増えることです。日本の公的年金制度は、建物に例えられます。1階は、国民すべてに加入義務がある国民年金・2階が厚生年金保険です。社会保険に加入すると、基礎年金に上乗せして厚生年金が支給される「2階建て構造」になるとされています。つまり老後に、より手厚い保障を受けることができるのです。
2つ目のメリットは、保険料の一部を会社が負担してくれることです。社会保険の場合、健康保険と厚生年金の保険料は、被保険者と事務所が折半することになります。
3つ目のメリットは、業務外での傷病・妊娠・出産で休職した際に、手当を受けられます。社会保険は手厚い保障制度があるのです。たとえば、健康保険や雇用保険からは、妊娠・出産が理由で会社を長期間休んだ時に、手当を受け取ることができます。休んでいても、収入がある状態をつくることができるでしょう。また、健康保険には業務外の病気やケガで、3日以上連続で休んだ場合も、4日目以降から傷病手当金を受け取れます。
派遣社員は社会保険に加入できる条件についてご紹介しました。しかし、社会保険に加入できるかどうかは、本人の働き方によっても変わります。社会保険は、国民の生活を保障することを目的とした制度です。社会保険に加入することで得られるメリットも多くあります。社会保険に加入することで、安心感を得ることもできます。働き方は人それぞれです。自分のワークバランスに合わせて社会保険の加入を検討してみてください。