アパレル店員の派遣から正社員へキャリアアップする方法
ファッションが好きで、アパレル系の専門学校に入学する方々はよく見られます。卒業後は、勉強をした服飾関係の知識や技術等を活かすことができるのか、正社員として安定した仕事をしている人が多いのか、派遣やアルバイトといった形態で、働いている人達が多いのかなど。
近年では多様な働き方があり、必ずしも正社員として企業に勤めることだけが正解ではありません。しかし、その中でも安定した地位や収入を求める場合には、正社員を目指すのがひとつの方法と考えられます。派遣社員からスタートしても正社員にキャリアアップできる方法もあるので、それを望む場合は正社員登用のチャンスを狙っていきましょう。
また、正社員からアパレル派遣へ転職することは、キャリアチェンジやワークライフバランスの改善など、多くのメリットがあります。しかし、収入や社会保障といった面ではデメリットも起きがちです。
この記事では、アパレル専門学校・大学新卒からの進路に関する解説や、派遣から正社員へのキャリアアップ、正社員からアパレル派遣へ転身することのメリット・デメリットを詳しく解説します。
アパレル専門学校卒業後の進路について
まずは、アパレル専門学校を卒業した方々がどんな進路を選んでいるのかについて、ご紹介します。
ファッションデザイナー
アパレル専門学校出身者の半数以上はファンションデザイナーになって仕事をしています。専門学校に入る時の希望や夢が、ファッションデザイナーになりたいといったことが多いので、強い意志をもってデザイナーの仕事を見つけることができるようになります。
販売員
次に多いのは販売員になることです。アパレル関係のお店で、直接お客様と向き合って商品を購入してもらう役割です。
ファッションデザイナーになりたくても、簡単になれるものではありません。希望をしてもうまく進まない場合には、どの専門店でも何人かは抱えているファッション関係の販売員として入ることができる可能性があります。
もともと洋服や小物等のファッション関係が好きな人たちですから、ファッションが多く溢れている専門店の販売の仕事でも、仕事として収入を得ることができるのならば、やる気が出ます。販売員は特別な資格や能力がなくても、社会人としての礼儀や常識があり、人あたりがいい方は採用してもらいやすいでしょう。
多くの専門店では販売員の募集をかけていることが多く、人手不足になりやすい職場です。また、「ファッション好き」という大きな共通点から、ほかの従業員とも親しくなりやすいため、仕事への意欲も芽生えやすいでしょう。
アパレル販売員の働き方はさまざま
アパレル業界で販売員になる場合には、「正社員で入社する人」と派遣やアルバイトで仕事をする人がいます。安定した収入と待遇を希望する方だと、正社員として採用してくれるところに応募をします。結婚をして家庭をもつ女性の場合には、家庭と仕事の両立が課題となるでしょう。正社員として働く場合には残業等もあり、出勤や帰宅時間は、自分の生活を犠牲にしても守らなければなりません。
こういったことが難しい場合には、派遣やアルバイトへの応募がおすすめです。なお、派遣とアルバイトを比較すると、派遣の方が時給が高いことが多く、派遣会社で福利厚生や保険等に加入することもできます。
また、派遣会社で開催している研修制度に参加をして、仕事をする上でのスキルアップをはかることも可能なので、有意義な働き方ができるでしょう。
また派遣会社に登録をし、紹介される会社は大手が多く、働いてみたいような会社に行って働くことも可能です。夢や希望をもって専門学校へ通い、卒業後は働きたいようなアパレル関係の会社に足を運ぶことができますので、ある程度の目的は果たせるでしょう。
したがって販売員を希望する方は、派遣会社にいくつか登録をし、紹介をしてくれる会社へ出向いて働くことが多くなります。自分の生活のペースを崩すことなく、好きな仕事場へ通えるため、やりがいがあります。
派遣なら就職活動をせずに仕事ができる可能性も
大学在学中に行われる就職活動は、早ければ3年生くらいから始めることもあります。エントリーシートを数十社に送ったり、毎日さまざまなテストを受けることや会社を訪問したりインターンとして働くといった活動が多いのが特徴です。
そうした就職活動は長い場合で1年かそれ以上行う人もおり、希望する就職先が見つからずに落ち込むというケースは少なくありません。新卒で働く就職先はそれほど重視されている世の中ですし、少しでもいい条件のところで働きたいという人は多くいます。
アパレル業界での就職活動の場合にも、業界についての情報を集めて企業訪問を行ったり、入社テストを受けて多くの人の中から正社員として選ばれるというのが通例です。当然希望する会社に受からないことも少なくありませんし、受かることの方が少ないと言えるでしょう。
そんなときにおすすめなのが、派遣を選ぶという方法です。メリットとしては、従来のような就職活動をしなくて済むという点にあります。これには大きなメリットがあり、大学3年生と4年生という学業でも大事な時期を、勉強や遊びなどほかの時間に割くことができるでしょう。
その位通常の就職活動は時間もかかりますし、心労も貯まります。派遣なら、長期間の活動は必要ありませんので、同級生が大変な思いをしている期間は他の事に使うことが可能です。それは大きなメリットと言えるでしょう。
さまざまな派遣先を選べるのもメリット
正社員になった場合は、配属先が選べないというのがデメリットとなりますが派遣の場合には自宅の近くから選ぶことができるというのがメリットです。派遣社員になるためには、会社の登録会に参加する方法が一般的ですが、その際に最適な会社を提案してもらうこともできます。
そのため、普通の就職活動で決められる仕事に比べると初出勤までの期間もスピーディです。大学生活を思い切り楽しむことが出来て、なおかつ勤務先を選べるのが派遣でアパレルに勤務するメリットとなります。
正社員の場合には、配属先のブランドなども選ぶことが出来ませんし勤務地も一般的には希望はそれほど通りません。しかし派遣の場合には、希望を聞いてもらうことができますし、担当者がさまざまなサポートをしてくれます。
正社員で新人として配属された場合には、それなりに厳しい新人教育が待っていますが、それがないのも利点でしょう。ある程度は勤務地やブランドなども希望を聞いてもらうことができますし、アパレル専門の人材派遣をしている会社もたくさんあります。そのようなところを利用することで、より専門性の高い指導を受けられるため、不安になることなく仕事をスタートすることが出来るのがメリットでしょう。
新卒で配属されるとしても、社員として勤務するよりそれほど緊張感もありませんし、合わないと感じたら、ほかの職場へ移動することもできます。
好きなブランドで働くことができる
就職活動で正社員として働くにあたり、好きなブランドでの就業を希望する方は多いものの、そう簡単にいかないのが現実。しかし、派遣なら憧れのブランドで働くことができる可能性があり、そこから社員にステップアップする例も少なくありません。
このように、はじめは正社員というかたちではなくても、そのための足掛かりとなるケースは多いです。もちろん、そのまま働き続けることもできますし、アルバイトやパートよりも時給は高めのところが多い傾向にあります。
「憧れのブランドで働いてみたいけど、募集をしていない」という場合でも派遣なら募集しているというショップは多く、「新卒で好きなお店で働きたい」という方には、そのような働き方が人気。
新卒で派遣社員というと、普通に就職活動をして正規雇用をされている人に比べると、何となく引け目を感じる人もいるかもしれません。ですが、その必要は全くありませんし、雇用形態が正社員でないだけで、仕事の内容は社員と同様です。
また、直接雇用を望んでいる場合には、そのあと直接雇用に発展することも多いので、好きなお店で働くうえで、非常に可能性が高い手段といえるでしょう。
時給も高めですし、好きなファッションの服を身につけて働くことができる、やりがいのある仕事です。アパレル業界は人気で、特に有名ブランドの正社員は倍率が高いので、派遣という働き方にはメリットがあります。
アパレル店員の派遣としてまずは活躍しよう
おしゃれで洋服を楽しむことが好きな人にとっては、アパレル店員の仕事は天職といえます。どのような職場かまずは派遣社員として様子を確認してみたいと考える人もいますが、派遣であっても正社員であっても給料が発生しているので、仕事上の成果を期待されるでしょう。
派遣先のルールや接客を覚える
派遣社員として活躍するために、まずは派遣先のルールを覚えて自分の仕事をこなせるようになることが必要なことです。アパレル店員であれば、洋服を悩んでいる顧客に対してアドバイスし、試着をした方に対して適切なコメントをすることも仕事のひとつでしょう。
また、在庫管理やレジ周りの金銭の管理などを任されることもありますが、ショップの売り上げに直接的に関係する仕事なので、間違いのないよう用心深く覚えなければいけません。先輩の正社員の仕事ぶりを見習い、どのような接客態度が好ましいのか、コメントとして盗めるポイントはないかなどを勉強するとスキルアップになるでしょう。
ファッションについて学び、自分自身の身なりにも気をつける
また好きな洋服のことだからこそ、雑誌やテレビなどで情報を得て、そこから勉強していくのもよい手段です。自分の着こなしが素敵に見えると、それを参考に買ってくれる顧客もいるでしょうから、自分の身なりにも気を配ってショップに立つようにします。
それだけでなく、立ち姿勢によっても服の見栄えが変わるので、そういったところまで気をつけましょう。
アパレル店員の派遣から正社員になるには
アパレル店員の派遣社員からスタートした場合、正社員にまでキャリアアップするのは簡単なことではありません。戦力として実力を認められ、今後長く続けて欲しいという期待をされなければ正社員になることは難しいでしょう。まずは自分の長所を伸ばして、それを評価してもらえるようアピールすることが大切です。
自分の接客スキルを活かす技術を身につける
たとえばトークスキルやコミュニケーションが得意だと感じているのであれば、顧客に喜ばれるような提案や試着対応を積極的に行い、その能力を伸ばせるように努力することが重要になります。試着対応をするにあたっては、在庫の状況が頭に入っていれば、ほかの色やサイズをスムーズに提案して持ってくることもでき、在庫に対する意識も高まるはずです。
ファッションセンスを磨いて提案力を向上させる
また、ほかに似合う商品があると思う場合には、どれとどう組み合わせて提案すると満足感が高いかなどを考えてみると、より提案力に磨きがかかるでしょう。
顧客に単に商品をおすすめしたり似合うと褒めたりするだけではなく、こうするともっとスタイルがよく見える、普段着ない色合いであってもこれは客観的にみて似合うというような話を、押し付けがましくなくできるようになりましょう。
顧客からの信頼も得られて、スタッフの人たちからの評価も高まりそうです。そのためには、雑誌などで勉強したり、イメージトレーニングをしたりすることも必要でしょう。
正社員になってからがスタートと考えよう
望んでいたように正社員になれたとしても、そこからがスタートです。正社員になることがゴールではなく、そこから新たなキャリアが始まると考えて、しっかりと業務に取り組む必要があります。何事も初心を忘れてはならないといわれますが、まさにその言葉の通りで派遣社員の時代に学んだことを身につけて活かすような意気込みが大切でしょう。
地道な作業を前向きに捉える
正社員になると、新たな責任ある業務を任されることも増えるはずです。金銭の計算などを扱うことも増え、在庫品の発注など管理的な業務も多くなる可能性が高いでしょう。それらをストレスのある大変な仕事だという受け止め方をするのではなく、これを習得できればまたスキルアップにつながると前向きな学習意欲を持つとよいです。
さまざまな業務を経験すると接客業務にも深みが増し、より自信を持って対応できるようになります。その姿は信頼感を与えることができるため、顧客から相談してもらえ、先輩からアドバイスをもらえることも多くなるでしょう。
後輩のよき手本となるよう向上心を持つ
また正社員になると、後輩ができて指導を行う立場になっていくので、先輩として頼ってもらえるようなしっかりとした対応や手本となるような接客態度が求められるようになるかもしれません。
プレッシャーは高まりますが、誰かに見られているというのは背筋が伸びますし、手本になろうと前向きに向上心を持つことは成長への近道です。
派遣会社はキャリアアップを支援してくれるのか
アパレル関係の仕事を多く紹介してくれる紹介会社はいくつもあります。それぞれに特徴がありますので、いくつか気に入ったところに登録をしておくことが必要です。その際には求人数が多いことや各種制度が充実していること、就業相談をしやすいこと、そしてキャリアアップを支援してくれること等をチェックしましょう。
セミナーや勉強会に参加した人には特に協力的
キャリアアップをするために、紹介会社でさまざまなセミナーや講座を開設していることがあります。仕事に携わりながら、こういった場所で仕事に必要な知識や技術を身につけることは有意義です。
派遣会社の方でも、とりわけセミナーや講座に参加した人たちは、ある程度の必要な知識や意欲が備わっていると見られ、最適な仕事を紹介してくれるでしょう。
積極的にさまざまな勉強をすることで、キャリアアップは可能になっていきます。派遣の仕事はある程度時間が決まっており、残業もさほど多くはありません。時間どおりに仕事が終わり、派遣会社のセミナーや講座に参加できるような生活が可能になるでしょう。こういった時期に多くの経験や勉強をして、アパレル業界のことをより多く知っておくことが必要です。
社員として入社しなくても、派遣会社でさまざまなアパレル関係の会社に携わり、多岐にわたる仕事をすることは、キャリアアップができる可能性を多く含んでいます。紹介された仕事には忠実にこなしながら、周囲の人達とうまくやっていくこともキャリアアップのためには欠かせません。
正社員からアパレル派遣へ転身するメリット
正社員からアパレル派遣へ転職することは、キャリアチェンジやワークライフバランスの改善など、多くのメリットがあります。
正社員からアパレル派遣へ転身するメリットは、以下になります。
ワークライフバランスの改善
正社員の場合、長時間労働や休日出勤が多く、ワークライフバランスを保つのが難しくなることがあります。しかし、アパレル派遣であれば、希望する勤務時間や勤務日を選ぶことが可能です。育児や介護、趣味など、プライベートな時間を大切にしやすくなるのは、大きなメリットといえます。とくに、家庭との両立が求められる状況では、この柔軟性は特筆すべきメリットです。
異なる職種・業界を経験できる
アパレル派遣は、さまざまな職種や業界の求人が豊富です。正社員としてひとつの職場で働いていると、特定の業務や業界に限定されがちです。しかし、派遣社員ならば短期間で多様な経験を積めます。新しい環境での仕事を通じて、スキルアップやキャリアアップが期待できるのは、アパレル派遣ならではのメリットです。
人間関係のリセット
正社員として働いていると、人間関係の問題に悩むこともあるでしょう。とくにアパレル系は上昇志向が強い人が多いため、人間関係のトラブルも起きやすいといわれています。アパレル派遣では職場を自由に選べるため、新しい人間関係を築き直す機会が増えます。ストレスから解放され、より快適な職場環境で働きたい人には人気の選択肢です。
転職活動をしながら働ける
正社員を辞めて転職活動をおこなう場合、収入が途切れてしまうことが一番の不安材料となります。しかし、アパレル派遣であれば、働きながら転職活動をおこなうことが可能です。
収入を得ながら次のステップを模索できるため、心置きなく転職活動を続けられるでしょう。お金を得ながら本命の転職活動をしたいなら、派遣に登録してみましょう。
正社員からアパレル派遣へ転身するデメリット
メリットがある一方で、収入や社会保障といった面ではデメリットも起きがちです。正社員からアパレル派遣へ転身するデメリットも、以下にまとめました。
収入が不安定になる
アパレル派遣の収入は、正社員と比べて低くなる傾向があります。正社員のように確立した勤務の保証制度がないため、突然仕事を辞めざるを得なくなる可能性があるからです。また、アパレルは繁忙期と閑散期の収入差が大きい業界であることも、派遣業の収入を不安定にする可能性があります。
長期間の安定した収入を必要とする場合には、アパレル派遣はあまり向かないかもしれません。もし安定した収入を得たいなら、複数の仕事をアパレル派遣で得ることも検討してください。
社会保障が不安定になる
正社員であれば、健康保険や厚生年金などの社会保障が充実していますが、アパレル派遣の場合はそうではありません。雇用保険や国民健康保険などに加入する必要があり、その負担が自己負担になることもあります。
社会保障面での安定性が失われる可能性があるため、継続して安定した環境を保ちたい人にはリスクが大きいといえるでしょう。リスクを極力減らしたいなら、正社員登用があるアパレル派遣の仕事を選ぶのがおすすめです。派遣会社から引き抜きで正社員になれるため、キャリアアップで安定雇用を目指せるでしょう。
将来のキャリアプランが描きにくい
アパレル派遣は、正社員への登用が少ない傾向があります。将来のキャリアプランを描きにくいというデメリットがあり、長期的なキャリアビジョンをもちにくくなるかもしれません。
しかし、正社員登用はゼロではなく、アパレル派遣で獲得したキャリアがそのまま正社員雇用へつながる可能性もあります。悲観的にならず、将来の安定を目指すことで新たなキャリアが拓けることもあるでしょう。
雇用が不安定になる
アパレル派遣は、契約期間が短い場合が多く、契約終了後に収入が途切れる可能性があります。つねに新しい仕事を探し続けなければならないため、雇用の不安定さを感じることがあるでしょう。
安定した雇用を求める人には、この点が大きなデメリットとなります。複数のアパレル派遣に登録し、仕事を確保できる環境を整えるのが大切です。
正社員からアパレル派遣へ転身する前に考えること
正社員からアパレル派遣へ転身する前には、まず、なぜ正社員を辞めるのか具体的な理由を明確にしましょう。アパレル派遣でどのような働き方を目指すのか、将来のキャリアプランを具体的に描くことが必要です。
収入や社会保障がどう変化するのかもチェックしてください。雇用の安定性について事前によく調べ、不安なら派遣会社のキャリアコンサルタントなどの専門家に相談するのもひとつの方法です。
まとめ
アパレル専門学校を卒業後には、ファッションデザイナーになる方もいますが、アパレル関係の会社で販売員として勤務するケースも少なくありません。大学新卒の方にも、派遣社員から好きなブランドで働くという方も見られます。
また正社員だけではなく、派遣社員として自分の生活ペースを大切にしながら好きな環境で仕事をする方々もいますので、あらゆる可能性を模索することができるでしょう。
アパレル店員として、派遣社員から正社員になるためにはさまざまな努力が必要とされ、多くのスキルを身につける必要があります。また正社員になるということは、より大きな責任を背負うことでもあるので、張り切って仕事に取り組みたいものですね。